Neutral / いつもの
晴れ
「見てて見てて! きょうの空、リエルが晴らしたの。えへへ、ちょっとだけ上手になったでしょ?」
Lumière Angels / リュミエールの雲の上
朝のラフィと、夜のウリエラ。そのあいだの空に、 泣くと雨が降る見習い天使、リエル。
公開中 空模様の見習い天使、リエル。 駄々をこねて、拗ねて、泣いて、すぐ笑う。気持ちがそのまま空に出てしまう、双子天使の妹分です。
空模様の見習い天使 公開中
リュミエール界の見習い天使、リエル。駄々をこねて、拗ねて、泣いて、すぐ笑う。まだ練習中の「空模様」のおしごとは、気持ちがそのまま空に出てしまうのが悩みです。
Neutral / いつもの
「見てて見てて! きょうの空、リエルが晴らしたの。えへへ、ちょっとだけ上手になったでしょ?」
Angry / わがまま
「やだやだ、もうちょっとだけ遊ぶのー! リエルもおねえちゃんたちと一緒に行くのー!」
Sad / しょんぼり
「……泣いてないもん。雨が、勝手に降ってるだけだもん。……ひとりにしないでほしいの……」
3つの空模様を、それぞれ聴き比べられます。リエルのBOOTH商品ページ


朝の窓と夜の窓
夜の窓辺に座る天使。答えを急がせず、休む場所を残す声。
今は答えを出さなくていいです
今日は休ませてあげる日です
眠れなくても大丈夫。目を閉じるだけでも夜は少しやさしくなります
ラフィの光があるからです
朝の窓辺から手を伸ばす天使。次の一行へ進むための、明るく親しみやすい声。
えっ、でも元気出してって言った方がいいんじゃないの
あ、そっか。じゃあ、一緒に休もうか
ウリエラの声って静かなのに、ちゃんと届くね
雲に残る光
小さな配信室
EPISODE 02
リュミエール界の雲の上。朝と夜の境目にある小さな配信室に、ぱたぱたと小さな足音がやってきました。
リエル「ふたりとも、まってー! リエルもおしごとするのー!」
ラフィ「わっ、リエル! 今日は空の練習の日じゃなかった?」
リエル「練習はもう終わったもん。……たぶん」
窓の外では、晴れた空のすみっこに、小さな雨雲がひとつ浮かんでいます。
ウリエラ「リエル。あの雲は、なんですか」
リエル「し、知らないもん! 勝手に出てきたの!」
ラフィ「あはは、ちょっとだけ失敗しちゃったんだね」
リエル「失敗じゃないもん! 子ども扱いしないでって、言ったのにー!」
ごろごろ。雨雲のなかで、小さなカミナリが鳴りました。
リエル「……ひゃっ。……失敗、だけど……」
ぽつ、ぽつ。雨が降りはじめました。
リエル「……泣いてないもん。雨が、勝手に降ってるだけだもん」
ウリエラ「大丈夫です。雨のあとには、ちゃんと晴れます」
リエル「……ほんと?」
ラフィ「ほんとほんと! ほら、もう虹が出てるよ」
リエル「えへへ。見て見て、リエルの虹!」
ウリエラ「上手にできましたね、リエル」
リエル「でしょ! もう子どもじゃないもん!」
ラフィ「ふふっ。じゃあ明日は、三人で空のおしごとだね」
朝の祝福と、夜の祈り。そのあいだの空で、いちばん小さな天使が、今日もころころと空模様を変えています。
EPISODE 01
リュミエール界の雲の上には、朝と夜の境目だけに開く小さな配信室がある。
金色の窓からは朝焼けが、青い窓からは月明かりが差しこんでいて、その真ん中に、双子の天使が並んで座っていた。
「聞こえてる? えへへ、ラフィだよ。今日はね、ちゃんと声が届く気がするの」
ラフィは小さなベルを鳴らした。りん、と鳴った音は、光の羽根になって雲の下へ落ちていく。
となりでウリエラが、白い指をそっと唇に当てた。
「ラフィ。近すぎると、びっくりされます」
「えっ、そうかな。だって、せっかく届くなら、近いほうがうれしくない?」
「近い声は、やさしく置くものです。押しつけるものではありません」
「むう。ウリエラ、今日もちょっと先生みたい」
「先生ではありません。夜の担当です」
そう言って、ウリエラは月の光をすくうように手を伸ばした。青白い光は静かにほどけ、眠れない誰かの枕元へ降りていく。
その日は、人間世界のどこかで、誰かがひとり、小さな机の前に座っていた。書きかけの手紙も、開いたままのノートも、名前のない夢も、全部が止まったままだった。
ラフィはそれを見つけると、ぱっと顔を明るくした。
「ね、あの人、まだ終わってないだけだよ。だめになったわけじゃないよね?」
「はい。止まっているものは、消えたものではありません」
「じゃあ、ラフィが朝の祝福をあげる。ちょっとだけ前に進めるやつ」
「私は、夜の祈りを置きます。進めなくても、ここに戻ってこられるように」
ラフィは雲の端から身を乗り出した。金色の髪が朝の光にほどけて、羽根の先まできらきら揺れる。
「だいじょうぶ。今日は一行だけでも、ちゃんと光るよ」
ウリエラはその後ろで、静かに目を細めた。
「疲れたら、目を閉じてもいいです。声だけは、そばに残します」
二人の声は、朝と夜の境目で、ひとつの祈りになった。
朝のぬくもりと、夜の静けさ。そのどちらも、人間世界へ静かに降りていく。
机の隅に置かれた小さな灯りのように、消えずにそばに残っていた。
ラフィが笑った。
「ね、ウリエラ。届いたかな」
ウリエラは少しだけ首をかしげた。
「届いたと思います。今、雲の下で、止まっていた手が動きました」
「ほんと? やった。じゃあ、もう一回言おう」
「はい。今度は、ふたりで」
ラフィは朝のベルを、ウリエラは月の祈りを、それぞれ胸の前で抱いた。
「あなたの今日に、ちょっとだけ光がありますように」
「あなたの夜が、少しだけ軽くなりますように」
そしてリュミエール界の小さな配信室から、双子天使のささやき声が、もう一度だけ人間世界へ降りていった。
雲の下へ